インスタグラムの卵
まずは、皆さんこのニュースを見ましたか?
"An Egg, Just a Regular Egg, Is Instagram's Most-Liked Post Ever"
”ただの卵がインスタグラム史上で最もいいね!がついた”
※誠に申し訳ありませんが原文の英語となっております
これは2ヶ月ほど前にアメリカのニューヨークタイムズのFood sectionでとりあげられていた記事です。
平凡のシンボルとして卵の投稿写真があるだけなのに、なぜかセレブの Kylie Jenner の赤ちゃんの投稿よりも "いいね"の数 が多いのは不可解だという内容です。
![]() |
卵の投稿とKylie Jennerの投稿を比べると、 卵の方が”いいね”の数が3倍にもなっています |
この卵の投稿が、インスタグラムでこれまでで最も多くの "いいね!" を獲得したということです。Kylie Jenner さんの投稿はそれに次いで2番目です。
他の記事ではこのようなものでした。
"An egg has overtaken Kylie Jenner as most-liked Instagram post ever" (CNBC)
”卵が最もいいねを獲得した投稿として Kylie Jennerを追い抜きました”
"How an egg beat Kylie Jenner at her own Instagram game" (The Guardian)
”いかにして卵がKylie Jennerをインスタグラムのゲームで打ち負かしたか”
でもなんで?
それはこの記事に少しイラっとしてしまったからです。
記事それ自体に対してではなく、その記事の持つトーンに対してです。
それはこのようなものでした。
何にも特別でもないただの卵です。それは世の中で最もありふれたものです。それが一体どうしてこんなにも多くの"いいね!"がつくのでしょうか??
実際のところ、ニューヨークタイムズ紙は鬼の首でも取ったかのようにこのように書いています。
"卵にはダイヤモンドが散りばめられていますか?
卵にはあなたが今まで見たこともない人気のYoutubeのチャンネルがありますか?
卵はセクシーなセレブが持っていましたか?
いいえ!全ての答えはノーです。ただの卵です。" ニューヨークタイムズ紙
もしこれを私たちのニワトリたちが聞いたら、ただの卵とは言わないでしょう。
ただの卵??
もしこれを私たちのニワトリたちが聞いたら、ただの卵とは言わないでしょう。
![]() |
ただの卵?? |
もしニワトリたちが新聞を読むことができたとしたら、ニューヨークタイムズ紙や他の新聞社には抗議のメールが殺到することでしょう。
しかし、ニワトリたちは新聞を読むことはないし、今はリタイア生活を楽しんでいてそんな時間はないんです。
そこで私はニワトリたちに代わって彼らに抗議するように頼まれています。
なので、私にはニワトリの言葉を英語に翻訳して、なぜ卵が何十億もの"いいね!"がついてもいいか、説明する責任が生じました。
卵がなぜ5,300万の"いいね"に値するのか?
1 世界は卵で溢れている
FAO(国際連合食糧農業機関)によると、2017年のこの世界中で生産された卵の数は、1,953,493,339,000個でした。
一年間に1.9兆個の卵です。
言い換えると、私たちは毎年2兆個近くの卵を生産し、78億人の人口を支えていることになります。
これは驚くべき数字だと思いませんか?
2 私たちはたくさんの卵を食べています
卵と言っても目玉焼きやオムレツばかりではありません。
他のたくさんの食品に利用されています。例えば、パン、パスタ、ケーキ、パイ、クッキー、プリン、パンケーキ、アイスクリーム、マシュマロ、ワッフル、キャンディーバー、マヨネーズ、サラダドレッシング、タルタルソース、スープ、バターフライド、ミートボール、ミートローフ、天ぷら、お好み焼き、などなど。
これらの食品を食べるということは、言い換えると、たくさんの卵を食べているということになるのです。
もちろん、そんなことは気づかないで毎日食べていますよね。
しかしだからといって、私たちが卵を食べているという事実、そしてどこかで多くの鶏が私たちが食べることになる卵を産んでくれているという事実は、変わりません。
みなさんの中には、私は卵をそんなに食べてませんよ、と思う方もいるかもしれません。私が思うに、あなたがビーガンや卵アレルギー持ちの方でもなければ、たくさん卵を消費しているかと思います。
まとめると、私たちの食生活の中で卵(食品に限らず)は広く多く利用されているのです。卵がもし世界からなくなってしまったら、私たちはとても困ります。
Kylie Jennerがインスタグラムや世界からいなくなった時よりも、それは明らかに大きな問題になります。
(もちろんそんなことは望んではいませんし、そんなことになれば彼女のご家族が悲しまれることと思います)
毎年、65億羽の鶏たちが1.9兆個の卵を産んでくれているということ。ここに私たちニワトリが、インスタグラムの卵の投稿に対し、5,300万もの"いいね!"に値すると考える理由があるのです。
![]() |
頑張ってますよー |
続き
話はここで終わりません。
この卵の投稿をした人は、初めジョークとしてこのインスタグラムの卵を作りました。
詳しくは、2月3日付のニューヨークタイムズ紙に載っています。"Meet the Creator of the Egg That Broke Instagram"
読んでいない方にはネタバレなってしまいますが、この卵を造った人が登場しており、その卵の名前は"Eugene"と呼ばれています。ジェンダーフリーです。
要約すると、創作者と彼の協業者がこの"Eugene" 卵で得た人気を使って何か世界に良いことすることにしました。
そして最近メンタルヘルスの問題に取り組むことにしました。
これは素晴らしいニュースです。
メンタルヘルスは非常に重要です。私を含め大部分の人はきっと100%精神的に健康ではないでしょう。私たちは普段、ストレスや睡眠不足、ブログ更新の時間が取れないこと、友達に連絡できないこと、旅行にいけないこと、本を読む時間がないこと、山に登ったりする、何かしたい勉強をする時間が持てない・・・といった問題に苦しむことがあります。そんな中で、Eugene 卵が私たちに救いの手を差し伸べてくれることはとても嬉しいことです。
ここで私たちニワトリからの提案です(ニワトリに変わって通訳します)
Eugene卵は鶏のメンタルヘルスも改善すべきです!
1.9兆個の卵を産む大部分の鶏は精神的苦痛に苦しんでいます。これには直接的な統計はありませんが、彼らが精神的に病んでいるのは明白です。苦しんでいるのは、狭いケージの中で動くこともできずただ立ち尽くすか座ることしかできない状況であるためです。このような鶏たちが65億も世界にいるのです。それは24時間、肉体的に不快で退屈な環境にあるのです。彼らが肉体的にも精神的にも苦しんでいることに疑う余地はありません。
鶏は立つこと、座ることがとても好きな動物です。立つことと座ることは素晴らしい運動です。しかし、彼らも歩いたり、走ったり、飛んでみたり、土を引っ掻いたり、餌をつついたり、捕食できそうなものを見つけて追いかけたり、砂浴びをしたりしてみたいのです。そして、もっとプライバシーのあるところで卵を産みたいのです。これこそが、鶏が鶏として生きるということです。
もしこのような本来すべき活動ができないのであれば、彼らはもう鶏ではありません。これはストレス以外の何者でもありません。
考えてみください。あなたは人間として生まれたけど、人間として本来必要とされていることが何一つできなかったら。
例えば、安全で快適な場所に寝ること、シャワーを浴びること、散歩に出かけること、ブログを書くこと、友達に連絡すること、旅行、読書・・・このようなことが何一つできなかったとしたら、あなたは精神的に苦しむことになります。
鶏も全く同じです。
もし、Eugene卵が鶏のメンタルヘルス改善のキャンペーンをしたらどうでしょう?
最善の方法は、鶏たちに彼らが自分たちが鶏であるということを感じれるようなことをさせることです。
これは私たちのニワトリからの提案です。
私たちのニワトリはメンタルヘルスは良好です。
少なくとも私たちにはそう見えます。
世界中にいる他の何十億という鶏も同じようになることを望んでいます。
![]() |
ニワトリ本来のライフ |
ツイート