最初は少し不思議に思いました。
彼らはとても高く飛べます。ここにいる種類のニワトリでも地上から2mくらいの高さまではその気になればすぐに飛べる能力を持っています。
実は飛べるんです (写真はアシ子ちゃん) |
発電所の敷地内では、フェンスの高さは低いところだと1mくらいのところもありますので、何かの理由で外に出たい時はいつでも敷地から抜け出すことができるのです。
ところが実際は一部のニワトリを除き、ニワトリが発電所の敷地から出ることはありません。
なぜでしょうか・・・
1mほどのフェンス ヤギでも飛び越えることができる高さ |
敷地の外にはより多くのニワトリが好む昆虫や草などがありますが、一方でリスクもあります。
群れから一人離れて遠くに出て行けば、犬や猫などに襲われる危険があり、それなりの覚悟をしなくてはいけません。
敷地内にいれば、毎朝私たちが用意する水とご飯を食べることができ、周りもフェンスに囲まれているので犬などの外敵が襲ってくることもありません。
そうです。
敷地の中で十分安全に生きていけるわけなんです。
彼らは私たち人間のようにあれこれと思考を挟むことなく、より直感的に”正しい選択”をしているように思えます。
ニワトリと自分
そんなことを考えていると、それがふと自分ごとのように思えてきました。
なんだ、俺と一緒か。
会社員をしている自分は会社に行き仕事をしていれば、一応毎月給料が入り、それで食べ物など日々の生活に必要なものを買い消費し、その結果生きていけます。
ところが会社員を辞めてしまうと、収入源がなくなるので生活費が払えなくなり、下手をすると食うも困るようになってしまい命の危険にさらされるかもしれません。
会社で働いていた方が安全で賢い選択なのですね・・・きっと。
会社で働いていた方が安全で賢い選択なのですね・・・きっと。
それが本当に自分にとって”正しい選択”であるかは分かりませんが。
ただはっきり言えることは、会社で働く自分は、敷地内で生きるニワトリと大差ないということです。
勇敢なニワトリ ”クリスティン”
さっき上で一部のニワトリを除いてと書きましたが、過去に敷地の外を開拓していったニワトリがいました。
クリスティンというニワトリです。
クリスティンは群れの中で一番最初にフェンスを飛び越え外に飛び出したニワトリで、非常に賢くそして勇敢なニワトリでした。
このクリスティンという名前は冒険家クリストファー・コロンブスに因んでつけられました。
このクリスティンという名前は冒険家クリストファー・コロンブスに因んでつけられました。
太陽光パネルの下にある高さ3m近くある単菅パイプに飛び上がり、そこにとまっていたのもクリスティンが最初でした。
しかしある日のこと、敷地の外で犬に襲われ道路上で大怪我をしているところを発見されました。周囲にはクリスティンの羽が散乱していて、体には大きな傷跡がついていました。
可哀想なクリスティン。
クリスティンが外に出られないくらいもっと高い網を張っていれば、こんなことにはならなかったはず。
私たちはそう思いました。
すぐ動物病院に運ばれたので、幸いにして一命は取り留めたものの、ショックだったのかしばらく敷地の外に出ることはありませんでした。
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事故現場で見つかった クリスティンの羽 |
可哀想なクリスティン。
クリスティンが外に出られないくらいもっと高い網を張っていれば、こんなことにはならなかったはず。
私たちはそう思いました。
すぐ動物病院に運ばれたので、幸いにして一命は取り留めたものの、ショックだったのかしばらく敷地の外に出ることはありませんでした。
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やれやれ by クリスティン 動物病院にて |
しかしクリスティンには得るものもあった・・と思います。
しばらく時間が経つとまたクリスティンは敷地の外に出るようになりました。(犬に襲われたことを忘れてしまっていたかもしれませんが・・)
今度は何かコツでも掴んだのでしょうか。
以来、犬などに襲われることはありませんでした。
今度は何かコツでも掴んだのでしょうか。
以来、犬などに襲われることはありませんでした。
そんなクリスティンですが、残念ながら今年の春に病死してしまいました。
小屋の中で最後を迎えたクリスティンはとても安らかに眠っていました。
クリスティンが外の世界で見たものは何だったのでしょうか。
私がクリスティンから学んだことは、敷地の外と内を自由に行き来できるようになれば、たとえ犬に襲われるような危険な目にあったとしても、それなりに充実した生き方ができるんじゃないかってことです。
クリスティンが外の世界で見たものは何だったのでしょうか。
クリスティン |
私がクリスティンから学んだことは、敷地の外と内を自由に行き来できるようになれば、たとえ犬に襲われるような危険な目にあったとしても、それなりに充実した生き方ができるんじゃないかってことです。
自分にはまだクリスティンのような外の世界に飛び出す勇気もないので、しばらく会社員生活は続きそうです。