ラベル 太陽発電設備 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 太陽発電設備 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2018年6月3日日曜日

OpenEnergyMonitor による太陽光発電の監視ソリューション

今年になってからやってる太陽光発電の監視システム見直しの続きです。以前ソーラーレモンさんが開発したものについて書かせていただきました。その時の記事はこちらから。

そんな中、自分がどんな製品・サービスが欲しいかがはっきりしてきました。


こんな製品サービスが欲しい




  1. リアルタイム監視ができる
  2. 出力表示がWattでみれる
  3. パワコン単位で計測監視が行える
  4. データの過去ログが閲覧できる(=データのバックアップ)
  5. 監視記録が長期保存できる
  6. ↑を全てネット閲覧でできる
  7. 低$価格
  8. 長期サポート体制がある
  9. できれば温度などの周囲環境データも取得したい


これら条件にあうような製品をしつこく探している時に、イギリスのOpenEnergyMonitorというグループが再生可能エネルギーに関連した計測ツールを開発しているという話を見つけました。写真からはとても良い人たちに見えます。


製品は、EV、太陽光発電の計測や監視システムなどがあり、どれも必要十分な機能を備えていて、この手の製品としては比較的安めの価格で販売されているように思いました。




IoTaWattを購入



その中で、IoTaWattという製品が自分が探しているものに近い感じでした。評価用の機器貸し出しなどはやっておらず、またそれほど高くもないので早速購入してみることに。

OpenEnergyMonitor
IoTaWatt
衝動買いしてしまったIoTaWattt本体
14個のセンサー端子の口

ウェブから発注し10日間ほどして届きました。発送元はイギリスからで、価格は送料込みで27000円ほどでした。


ところでこのOpenEnergyMonitorやそれに関連するグループのプロジェクトでは、ハードウェアとソフトウェアの両方を開発しているようで、ともにオープンソースとしてハード基盤からソフトのソースコードまで公開されています。スマホ 用アプリも用意されていて使うのが楽しみな感じです。


うちの発電所はパワコンが7台あるため、集電箱内で計測するポイントも少なくとも7箇所になりますが、このIoTaWattには14個もセンサー端子の口がありこれならこの1機でカバーできます。


IoTaWattの本体と4個のCTセンサーとUSB DC電源アダプター、AC電源アダプターなどが付属していました。


OpenEnergyMonitor
付属のCTセンサー
19mmと13mm

あとで分かったのですが、CTセンサーは19mmより13mmの方が良いです。ブレーカーのクランプを取り付ける際のスペースが狭いためです。


CTセンサーの必要数はパワコンの数に合わせ7つです。不足している3つは、アマゾンでも買えることに気づいて、追加購入しておきました。
Hommy SCT-013-000 非侵襲的 AC電流センサ クランプセンサ 100A





IoTaWattのセットアップ



IoTaWattとの通信は無線LAN経由で行います。初回セットアップ時に PCなどの端末からこのIoTaWattを無線LANで見つけて接続してやる必要があります。

具体的にはPCから無線アクセスポイントでSSID "iotxxxxxx" を見つけてやるだけです。パスワード、暗号化設定などは不要です。


IoTaWattにPCから接続ができると、このような画面が表示されます。ここでは環境に合わせて設定を入れていきます。英文となってしまいますが、マニュアルも写真つきで親切に書かれてあり簡単です。


IoTaWatt の画面


まだIoTaWattがインターネットに接続できていない状態です。手持ちの無線ルーターやWIMAXなどをIoTaWattと繋いでやりIoTaWattがネットに繋がるようにしてあげます。


ここまでやればあとはIoTaWatt本体を設置するだけです。



 IoTaWattの設置




IoTaWatt本体はどこに設置するのが適切か迷いがありましたが、当面は集電箱に納めることにしました。
理由はCTセンサーのケーブル長が短く、集電箱以外に納めるには延長ケーブルが必要になってくるためです。



IoTaWatt を取り付けた状態
右の4本はCTセンサーケーブル
下の2本は電源アダプタのケーブル


パワコンが7台あるため、測定箇所は7箇所となりますがCTセンサーが4つしかないので今回は4つだけ取り付けました。





 IoTaWattにデータが上がってくるか確認



確認はPCから無線LANでIoTaWattに接続します。この時すでにインターネット環境にあるのですが、本体に対してはブラウザから http://iotawatt.local でアクセスします。


Statusから現在の発電状況をほぼリアルタイムで確認できます。

CTセンサーを取り付けた全てのInputで出力が確認された

一応クランプやパワコンなどでも計測しておきました。一人でやっていたので多少時間差はあるもののほぼ正しい感じです。



CTセンサーInput_3の電流値



CTセンサー Input_3の対象パワコンのパネル表示
kW







IoTaWattのデータをクラウドにあげる




発電所に来なくても遠隔からネットで監視ができないと意味がありません。IoTaWattは、本体にあるマイクロSDカードに計測したデータを保存していき、インターネットに繋がるとそれまで溜め込んだデータをクラウドにあげる仕組みとなっています。


クラウド側のサービスについてです。 OpenEngergyMonitorはこのサービスも用意しており、今回自分もそれを利用してみることにしました。
(emoncmsはOpenEngergyMonitorのプロジェクトの一部)

↓のサイトになりますが、アカウント作成など少しだけ面倒ですが、無料で利用できます。

https://emoncms.org

でも、もうすぐ(来月1日)有料になるようですが、OpenEnergyMonitorから製品を購入して入ればその額に応じてディスカウント(購入額の20%)が受けれます。

結果、安いです。使い方にもよりますが、自分の場合、向こう5年は無料になりそうです。


クラウド側で少し設定が必要です。
CTセンサーの計測データをグラフに表示させるかなどについての設定やそれをどう表示させるかといった設定です。

このあたりはオープンソースだからかヘルプが充実してます。(分からない時はコミュニティに投稿して助けを求める仕組みもあります)


IoTaWattがインターネット接続されていれば、データのアップロードは自動で行われるので、emoncmsにログオンすると、このようなグラフが表示されました。

欲しかったパワコンごとのデータがグラフに出力されました。

Emoncmsクラウドサービスでのグラフ表示
Emoncmsクラウドサービスでのグラフ表示


CSV出力で生データも取得できるようで、市販のアプリケーションでみる機能はだいたいあるような印象です。


またスマホアプリでEmoncmsというのも用意されており利用まで楽しみです。


冒頭であげた要件を全てカバーしている訳ではありませんが、もう少し評価してみて問題なければ現行サービスを解約し、このOpenEngergyMonitorに切り替えを考えています。


実は、まだ発電所にはIoTaWattで利用するインターネット環境は整っておらず、今回はインターネットへの接続はiPhone経由でやっていました


昨今IoTの流行りからか、低速・少量通信のサービスがいろいろあるようですので、このIoTaWattに適したものを探してみたいと考えています。







2018年5月9日水曜日

太陽光発電監視システムの見直し

私たちの発電所は2014年11月の可動開始時から利用しているソーラーモニタリングという監視サービスがあります。

今では当たり前になっている、発電状況をWebから確認できるもので、今回はそのサービスを見直すことになりそうという話です。

以下の画像は現在検討中のソーラーレモンさんのWeb画面です。

ソーラーレモン
検討中のソーラーレモンさんの
デモ機Web画面


その前に、なぜ監視が必要なのかですが、目的は大きく分けて2つあります。


  •  発電量のチェック
  •  異常の発見


発電状況のチェック


発電状況を知ることは重要です。

回転システムを導入した当時、太陽光パネルの角度を変更すると発電量が改善したことに驚き面白くなって、毎日角度を変えて発電量が上がるのを見ては楽しんでおりました。

現行のソーラーモニタリングでは、パネルを可動させながらどのくらい発電量が変化したかを見るときに使っています。




適宜最適な角度に調整



パネルを動かした後はリアルタイムで発電状況の確認ができます。瞬間ですが発電出力は37.4kWと表示されています。

現行のソーラーモニタリングの監視サービス



異常の発見


もう一つの目的は故障の発見です。
故障を放置すると発電ロスになってしまうから故障から復旧までの時間を極力短くしなくてはいけません。
(故障しないのが一番ですが・・)

ソーラーモニタリングでは、毎朝前日の発電量のレポートが送られてきます。レポートには県の気象状況とともに時系列で発電量がグラフ表示されています。

今年で同監視サービスを使い続けて4年目になりますが、天気と気温、風でだいたい今日はこのくらい発電するかなみたいなことがわかってきます。(人の感覚値ではありますが)


ある時監視サービスから送られてくるレポートを見て、”なんとなく”発電量が少ない気がしました。

最初は気のせいかな、とも思っていましたが、好条件(快晴、低温、風有)と思われる日なのに発電量が思わしくなかったことが何度か続いたため、施工業者に調査してもらった所、太陽光パネルが36枚故障していたことがわかりました。全体数は354枚ですので約1割発電量が低下していたわけです。


このように”正常な状態”がある程度把握していたおかげで異常な状態に気づくことができたのです。

(ただこれはたまたま自分たちが気づいたから異常が発見できただけの話で、このような人の感覚に頼るのは監視とは言えません)


ソーラーモニタリングの問題点



パワコンごとの監視ができない
※パワコンについての説明はこちら

これは接続図を描くとわかりやすいです。

発電された電気は各7台あるパワコンからのケーブルが集電箱に行き、そこから1本道でブレーカーに入り送電網へと流れます。


                 送電網
                             |
                ブレーカー
                            |__監視ポイント
                            |
   パワコン#1_____|_____パワコン#2 故障
                            |  
   パワコン#3_____|_____パワコン#4
                            |
   パワコン#5_____|_____パワコン#6
                            |
   パワコン#7_____|
                            |

例えば、パワコン#2 が故障していた場合でも他のパワコンが電気を流しているため、監視ポイントから見たときには”発電している"体になります。そうなるとなかなか発電量から気づくことが難しくなり、故障した場合の発見も遅れてしまうことになります。




料金が高い

毎月3000円。20年間でみると70万円超えます。
現行の監視サービスに不満があったのでメーカーサイトで調べてみると、月額でさらにプラス500円上乗せするとパワコンごとの監視システムを利用できるということでした。


キャリアがIoT用途で月額10円の通信料でやろうってご時世に、毎月3000円以上は少し費用をかけすぎていると感じています。




温度データがない


発電量以外のデータは取れないサービスです
温度データは必須ではないですが、太陽光パネルは気温が上がると発電量が低下することが知られているので、温度データもあればより良いです。




ソーラーレモンさんの監視サービス



障害通知ができるサービスはないかと調べていたところ、ソーラーレモンさんのサイトにたどり着きました。

太陽光発電の監視はパワコンの出力低下をみれば良い、という製品の思想に共感し、デモ機を使ってみようと思いました。

また、前述した現行監視サービスであげた問題を全てクリアしてくれるサービス内容にもなっていました。


詳しいソーラーレモンさんの製品情報については本家のサイトでご覧いただくが良いかと思います。こちらからどうぞ。


先日ゴールデンウィークの真っ只中、デモ機設置をしてくれました。

データ採取に必要な構成機器はとてもシンプルなものでした。

監視対象となるパワコンの系統にクランプを設置し、4GLTEデータ送信端末にバッテリーを繋ぐというものでした。


クランプ
集電箱の中に設置したクランプ(青) x 2 


3Gロガー
データを送信端末とバッテリー


ソーラーパネル
太陽光発電により電気をバッテリーへ給電


パワコン異常の検知

パワコンごとの出力グラフとなっているので、出力が低下しているパワコンがあれば異常と見て取れます。




また、
予め設定しておけば、ある一定以上の出力値の差がパワコン間で生じた場合はアラートメールが配信されるということです。



下の画面左はソーラーレモンの画面、右が現行サービスのものです。


監視するポイントが違いますが、本当に運用に必要なものとは何かについて気づかされました。

その時々の発電量を知ったところで、そこにあまり意味はないと。



ソーラーレモン(左)
ソーラーモニタリング(右)



ただ出力されているデータがパワコンの電流値であることから、発電量をチェックするという点においては唯一現行サービスが優位なところでした。


発電量故障
検知
温度
データ
費用
ソーラー
モニタリング
XXX
ソーラー
レモン
X

監視サービスを移行するかはもう少し検討してみようと考えています。


余談ですが、ソーラーレモンの担当の方はデモ機設置の際に、集電箱のダクト接続部のヒビ割れに気づき修復までしてくださいました。ありがとうございました。
(ちなみにこの修復箇所はここで紹介しましたように昨年8月に修復されていた箇所でした。)



また亀裂が入っていた
修復されました






2017年8月4日金曜日

発電設備の不備?!

昨日、太陽光発電工事を事業として行なっている知人が充電スタンド工事のため発電所に来ました。


電気自動車を駐車する場所や電気容量の話などをしていたのですが、彼は集電箱(各パワコンの配線が終端している箱)を見るなり驚いた様子で言いました。


このような集電箱は初めて見た。
電気屋さんはこのような工事は絶対にしない。


何を問題視されているか全然分からなかったのですが、集電箱は発電所の心臓部とも言えるため、その理由を聞いて見ると、おおよそ以下のような内容でした。

  • 集電箱の配線が横から入っているため雨水が入る
  • 集電箱が地面に直置きとなっているため雨や河川の増水などから浸水してしまう
  • 集電箱はパワコン側と送電網側からの電気が流れているため、誤った設置場所は重大な事故を引き起こす危険性がある


彼はやってはいけない悪い事例として他の人にも情報共有したいということで写真を撮っていきました。


うちの発電所はBad Practice をやっていたようです。恐ろしや。


そんな危険があったとも知らず2014年から稼働していました。

集電箱(左から2番目)で両脇から配線がされている
集電箱は通信ボックス(左から3番目)の背後に設置することを推奨される


横から出ているケーブルをよく見ると案の定亀裂が・・・。

集電箱の中を開けてみると、ドリルで穴あけした際に径があっていないため、
壁の隙間ができてしまっている。そして、ここにいずれは雨水が入る危険を指摘されました。

※後日改善されたのでその後の写真を合わせて載せています


Before ほぼ地面に直置き
After 2017/9/15 ブロックで嵩上げ





Before 亀裂の入った状態




After 2017/8/8 修復



Before 穴径があっていないため隙間がある
After 2017/8/8 修復


じゃあどうすれば良いのか。


彼によると、集電函は電柱側にある程度の高さで設置するが望ましいがケーブルが短いのでそれも難しいので、通信ボックスの背後に新たに集電函をもうけそこに移動するがよいということ。このタイミングで配線も全て下からとり、雨水による浸水も防ぐことができる。


はい、これはメモしておきました。


無情にもまだ指摘は続きパワコン(直流の電気を交流に変換する機器)についても。
ここまでくるとなんだか会社で監査を受けている気分になってきました。


  • パワコンを背後から支えているダクター呼ばれる三本のフレームを止めている金具は本来配管に使うものであってこのような重量物(36キロ)に対して使うものではないため20年はもたいない
  • パワコンとパワコンの屋根の間は、熱排気のスペースなので最低20センチ開ける必要がある


    Before 屋根とパワコンの間にスペースが
        
 After スペースを設けた


屋根は私が設置してしまったのでこれは自分で直すとし、その他不備については早期に業者に対応をしてもらう必要があると思ったので電話。


幸い業者の方にすぐに様子を見にてきてもらうことができたため、指摘された問題とその危険性について話をすると社内で協議をして後日回答ということになりました。


メンテナンス業者は施工業者と同一業者が一貫性を持ってやってくれるので良いと思っていましたが、今回のことがありあえて別業者に頼むもありかなと思いました。


人気の投稿