2017年9月12日火曜日

風車の土地探し

小形風力発電で設置場所は重要です。
大抵海岸沿いや高台はよく風が吹くので、島国の日本は風はいくらでもあります。



北海道・礼文島スコトン岬



ただどこでも良いかと言うともちろんそうではありません。


今年の春から北海道で土地探しをする中でわかったことをまとめてみます。



【小形風力発電に適した土地とは】



”ある”と良い

恒常的に一定の強さの風が吹く場所が適した土地と言えます。
台風などの強い風は発電にはプラスにはなりません。


  • 年間平均風速5m以上の風
  • 最低100坪 の広さ
  • 電柱または幹線道路
  • アクセスできる道路の道幅が4m以上



”ない”方が良い

土地は360度周囲からの風を受けることができる地形が望ましいため、
付近には高い建物を山などがあってはいけません。


  • 丘や山などの風を遮る地形
  • 民家などの住居
  • 防雪柵・防風林 
  • 台風・地震・津波・雷が比較的少ない



という感じです。



それぞれに理由があり重要ですが、やはり最重要はそこで風が吹くかです。



ちゃんと風が吹いてくれるかどうかを知るには、以前試したように風速計を設置し
一定期間モニターすれば間違いないです。

また気象データを買い高価なソフトでシミュレーションで風況を知るやり方も
ありますが、何れにしてもコストや時間がかかってしまい個人ではなかなか難しいです。




【風が吹くかどうかを知る手がかり】



現地へ足を運ぶと風が吹くかを知る手がかりとなるものがあります。
関係者の方々から教わった方法を2つ紹介します。


1つ目は 草木を見る。


北海道の風車設置の候補地



風が強い場所は草木が高く生えないです。本当です。

木が生えていても風を受けて成長しているため低くまた枝や幹も斜めになっています。


イギリスの知人からの画像
一方向からの風(卓越風)が明らかなもの



2つ目についてこれまで掲載していましたが、諸事情により削除させていただきました。
(2017/10/22)




他にも風を受けるとその”もの”の状態が変わるものがあれば、
それが風が吹いているかどうかを知る手がかりになります。



3つ目は周りに風車がないか見る。


そりゃそうだろう。
大型の風車は設置する際に必ず風況調査をしているので、
そこはよく風が吹く場所ということです。

このような大型風車は良いサイン



あくまでもご参考ということで。念のため。



卵の質って何?

English

私たちが飼っているニワトリは2年と3ヶ月生きているんですが、さすがに年のせいで毎日採れる卵の量と質に影響が出てきました。


Chicken in clover: So what.
年食っても何の問題もないよ!
だけど気になるという人がいるのもわかるなぁ・・・

今日は、ほとんどの人が知らない卵の質とニワトリの老の関係について書いてみます。


卵の話しをすると、大抵はその鮮度や質の物差しとしていくつかの指標が語られると思います。
卵の殻が固く壊れにくいか、黄身はこんもりと盛り上がっていて“いい色”をしているか
(黄身の色はエサによって決まるものなので質や鮮度とは関係ないが)、
白身は厚く上向きに盛り上がっているかについては、私たちも見る部分ではあります。

そしてこれらはとても常識的なルールのようになっています。


しかし、白身についての一般的なルールは実は完全ではありません


白身の盛り上がっていることは話の半分に過ぎず、残りの半分も知る価値があります。
地元の小さな養鶏場で、そこは通常の大量飼育で飼われてるニワトリよりも
長く生きているようなところから卵を買う場合は特にそうです。


白身が厚く盛り上がっていることは新鮮な卵の証であることは、消費者が信じていることですし、
一般的にそれは正しいわけです。


Last Judgment, egg version
白身は盛り上がっている状態のものが新鮮で、
盛り上がりのないものは新鮮ではないというのは誤っています。


ただし、全てそうだとは限りません。


これはうちのニワトリが私たちに教えてくれたことの一つです。

ニワトリは通常17~18ヶ月で廃鶏(卵を産まなくなったため屠殺され肉などにされる)
となり処分されます。
私たちのニワトリは今27ヶ月を超えてとっくにリタイアしている時期ですが、
まだ卵を産んでくれていて、そしてそれを理解してくれているお客様が購入をし続けてくれています。


【卵の白身】



白身(=卵白)には濃厚卵白と水様卵白の2種類あります。
濃厚卵白は卵黄を囲んでいてしっかり粘り気のある部分で、水様卵白はその周りに薄く広がる透明な部分です。




産まれたての卵は濃厚卵白が多く、その周りに水様卵白が少し広がっています。
しかし日を追うごとに濃厚卵白が水様卵白に変わっていきます。
そのため古い卵を割ると白身はほとんど水様卵白で平べったく広がる状態です。
さらに保管場所が暖かかったり湿気が多かったり、あるいは寒暖差のある場所だったり
するとその変化は一層早いです。



Albumen height
何ミリ盛り上がってる??



卵白の盛り上がり具合は卵関連の業界や学界でどれだけ重要な指標かというと、
めちゃくちゃ重要です。

卵白の高さ
は何ミリかがマイクロメーターで計測され、その値が、卵の重さと一緒に
ハウユニットと呼ばれる指標の計算に用いられます。

ハウユニットとは、1937年に発明されて以来、卵の基本的な品質尺度として
どこにでも広く使われている指標です。





ニワトリが年をとれば白身の高さは自然と下がっていく


ということはあまり知られていませんが、これはニワトリの体内にある生殖器官も老化いくことを考えれば自然なことです。


私たちのニワトリについていうと、年の影響のほか、個々のニワトリによっても
その状況は異なります。
あるニワトリは年をとっても比較的しっかりと盛り上がった白身を持つ卵を産みますが、
そうでないニワトリもいます。


全てのニワトリは同じ年月を生きていて、同じ環境で生活してきて、同じエサを食べて、
みんな同じく健康であるにも関わらずこうした違いが出るというのは、個々の遺伝が
関係しているからでしょう。

もっとも私たちのニワトリはまだ年寄りということではありません。
なぜなら、ニワトリは天寿を全うするなら8~10年は行き続けることができるのです。

一般的な養鶏場では通常1年半で処分されていますが、それと比べても、
年齢が2年3ヶ月の私たちのニワトリたちはそれほど老いていないと言えます。


年のせいで白身があまり盛り上がらない卵ですが、見た目は普通にきれいで、殻も強く、
黄身もしっかりしていてその他については十分です。
実は新鮮なのに白身の部分が平べったくなっているがために、それを見て一般的な消費者
はこの卵は古く質も低いと思いがちです。


でも...

健康なニワトリが産む卵が、見た目も綺麗で、もちろん食用として完璧なのに、ただ白身
が薄いからそれは良くない卵とすることは、本当に品質の問題となるのでしょうか。
それとも一般の消費者がいつのまにかやや過剰に神経質になっているからでしょうか。



ちょっと神経質?


仮にそれ(白身が薄いこと)が本当に品質の問題たり得るのであれば、
白身が薄い卵は何かの重大な欠陥を示すサインであるはずです。
つまり目玉焼きを作る時にフライパンの表面で卵が広がりすぎるというような
「欠陥」以上の問題があるはずです。


そこで卵の白身が低いことで起きるだろう問題として2つの仮説を立ててみました。


【2つの仮説】


仮説 その1:白身が平べったい卵にはミネラルやビタミンなどの栄養が少ないかもしれない説




調査したところ、その答えはNOでした。


白身の高低と栄養の関係はなさそうです。

白身やハウユニットと栄養価の関係性を示す科学的なデータや研究、その他議論を
何一つ見つけることができなかったのです。


何十年もの間、世界中で卵の研究がなされていて卵は四方八方から知り尽くされている
のに、そのようなデータがないということは、恐らく白身の盛り上がり具合と栄養価は
関係ないことを示す一番の証拠かもしれません。
唯一見つけたそれらしい研究をあげるとすると、ウズラの卵についての研究で
「保管期間は卵のミネラル含有量に影響しない」とする論文だけでした。 [1]


仮説 その2:白身の平べったい卵は泡立てが悪くなる



これは卵を加工して使う会社やケーキ作りが好きな個人消費者にとってみると、
白身に高さがない卵は機能的な欠陥食品となるかもしれません。


調査したところ、その答えはNOでした。


それどころか白身の低い卵は、むしろより泡立つようになります。
実際に行われた実験の結果がこちらにあります。 [2]


白身が低い卵の方がより泡立つのです。


言い換えると、

卵の質を見る判断基準としてみていた白身の高さと泡立ち具合は矛盾していたのです。
何ということでしょう・・・。

白身の高さがないからといってそれが卵の質に深くは関係しないことがわかりました。


それは例えば、中身は一緒なのに大きいリンゴは小さいリンゴより品質が良いと言って
しまうのと同じように、卵を調理する際の単なる人間の嗜好に過ぎないのです。



本当にそうなの?


【少なくとも新鮮さを見る時の尺度にはなるの?】


うーん、なりません


これまでに説明したようにニワトリが年をとると白身は平べったくなっていきます。
それにニワトリの個体差もあります。

これは私個人の観察から言っている話だけではなく、こちらにあるような研究調査
に基づいて考えられることなのです。[2]


研究はこう続けています。
白身の高さが卵の保管状況が要因となって、白身が低くなってしまうことは事実ではある
が、

その他に遺伝、年齢、品種(系統)といった要因も
絡んでくる
ことから、白身の高さが新鮮さを示す正確な指標で
はない
のです。

ところでもっといい指標があります。


それは白身のpHです。


白身のpHはほぼ完全に時間の経過によって変化する(高くなる)ので、卵の鮮度を確認したい時はこちらの方が白身の高さを見るよりも役立つでしょう。

まとめると、卵の白身が低い時の原因は、次のいずれかなのです。

  1. 卵が古い
  2. 卵を産んだニワトリが年をとっている
  3. 卵を産んだニワトリの親鳥から遺伝

ほとんどの人はこれを知りません。

私たちは白身が低い=1. 卵が古いということしか知らされていませんでした。

なぜでしょうか。


ニワトリは年をとるまでに処分されてしまうからです。



【ニワトリにしてみると】


ニワトリがあまりにも早く処分されてしまうということに他なりません。

もちろん、卵の質と量はニワトリの年齢が17か月になる頃には落ちていきます。
個数という量でいうと、100羽がピーク時には1日に90個以上産んでいたところが、
65〜70個となります。


質でいうと白身の部分が薄くなっていくことは主な問題になります。
これは上記で説明した通りです。


ニワトリを処分するかどうかを決める敷居として65~70個は多いのか少ないのか、
考え方は人それぞれです。


私の意見はこうです。

白身の部分に少しばかり薄くなったという理由だけで、
まだ65〜70個の良質な卵を毎日産んでくれる
健康なニワトリを群れごとに処分してしまうことは、
動物の命を軽視しているように思います。


想像してください。
もし自分の庭に同じ状況のニワトリがいたらどうしますか。
群れごとに殺そうとは思わないはずです。


それは、動物の価値がその数に対して反比例しています。
言い換えると、動物の数が多ければ多いほど、個々の動物の価値が低くなっていくのです。


何万羽ものニワトリを飼育している大規模な農場では、ニワトリを処分するときにトラックに詰め込んで処分場に送るだけです。


この点は、わずか30羽に満たないニワトリを飼育している私たちの小さな農場とは大きく異なります。


私たちは日々ニワトリたちに接する中でどれだけ可愛い動物であるか驚いています。
しかし、彼らを処分するのは私たち自身なのです。


これは避けられないことはわかっていますが、誰にとってもニワトリを殺すことは決して楽しみではありません。特にニワトリにとってね。


私たちのために卵を産み続けてくれたのだから、なんとかこの処分の頻度を
減らし、卵を産んでくれている間は出来るだけ長くニワトリたちがストレスなく
生きていけるようにすることが、私たちがやりたいことなのです。


今、ニワトリが2年以上経っても、農場を走り回って遊ぶ姿を見ることができます。
それはこの考え方を理解し長い間継続して卵を購入してくださっているお客様があってのことに他なりません。


全ての人がうちのお客様のように寛大な心をもって考えることはないこともわかっています。
しかし、もし世界中の人々が卵の向こう側で起きていることに関心を持っていただける
なら、自分にとって何が重要かを選択していけるはずだと思います。


若いニワトリだけが産む白身が高い卵が重要なのか

それとも、

白身の高さは市販のものほどないけど、その代わりニワトリがのびのびと
暮らしより長く生きていけるようにすることが重要なのか。


え?!私の意見聞きたいの?


あ、忘れそうになりました。

最後に私たちの農場で、2年3ヶ月の年齢のニワトリが生んだ今朝の卵の写真をお見せします。






割と大丈夫そうだよね?

*****************************
External links
[1]
Günhan S., Kirikçi K. 2017 Effects of different storage time on hatching results and some egg quality characteristics of rock partridge (A. graeca) (management and production). [Abstract]
[2]
Silversides F. G., Budgell K. 2004 The Relationships Among Measures of Egg Albumen Height, pH, and Whipping Volume. [Full text]

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